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APS-3を買ったらすぐにやること

記事カテゴリー:射撃よもやま話  投稿者:ikegami  登録日:2013.3.3

エアガンを使った精密射撃競技では圧倒的シェアを誇る絶対の定番銃、APS-3。ほぼ欠点めいたものはない製品ですが、一点だけ「ここは手を加えておいたほうがいい」という箇所があります。

マルゼン・APS-3は実銃ではなく、誰でも許可無しに買える「玩具銃」です。玩具といっても馬鹿にしたものではなく、形も精度も素晴らしいものがあり、そのままエアピストルの代替、あるいは練習になるレベルです。発売されたのは2007年、昔のエアピストルなんかと同じように大きなレバーを操作することで銃身下にあるシリンダーに1発の弾を発射する分だけの圧縮空気を溜め込み、トリガーを引くことで弁が開放され弾が発射されるというものです。

発売されてから今まで、いくつかスペシャルバージョンみたいなものが発売されたり、ベーシックモデルにおいても細かなマイナーチェンジが行われていますが、主な変更点はメンテナンス性や信頼性に関するもので、こと精度ってことでは旧型も新型も大きく変わりません。価格は実売価格で26,000~30,000円といったところ。玩具銃としては高めですが、実銃のエアピストルに比べれば激安価格です。エアピストルのサイトを買う値段で本体が買えると考えるとその安さが実感できますね。

基本的にほとんどエアピストルと同じで、不満点はほとんどありません。先代にあたるAPS-1グランドマスターには安全対策としてグリップを握りこまないとトリガーが引けなくなる「グリップセフティ」なんてものが付いていましたが、APS-3にはそんなものは最初から付いていません。トリガー前後位置の調整範囲も広く、トリガーが遠すぎて困る、なんてこともありません。APS-1グランドマスターでは、買ったらまずこことここを改造しておかないと、撃っているうちにどんどん下手になってしまいかねないよ……みたいな致命的な欠陥めいたものがいくつかありましたが、APS-3はそのまま手を入れないでも十分に第一線で使えます。

ただし、ここだけはやっておいたほうがいいという箇所はあります。グリップに、ちょっと余計な盛り上がりが一箇所だけ残っているのです。

左の写真で、赤矢印で指している青く塗った部分、ここです。APS-3のグリップはいかにも競技銃らしく、手のひら全体がグリップにしっかりと吸いつくようなデザインになっているのですが、競技銃(特にピストル)のグリップというのは手のひらにピッタリくっついていれば良いというものではありません。銃を撃つ時には「トリガーを引かなければならない」のです。

ただ銃を持って構えて標的方向に向けるだけならこのデザインでもいいのですが、弾を撃つためにはトリガーを引かねばならず、トリガーを引くためには人差し指に力を入れなければなりません。手の指そのものには筋肉が付いていませんから、指を動かすのには腕にある筋肉を使い、腱(ワイヤー)を使って筋肉の動きを指に伝えています。そのワイヤーは手のひらを通っています。そのため、指を動かすと、どうしても手のひらの一部が勝手に盛り上がったり動いたりしてしまうのです。

そのため、競技用ピストルのグリップでは「人差し指と、人差し指に関連する手のひらの腱が通っている部分は、グリップにはいっさい触れない」ようなデザインにするのが絶対の基本となっています。APS-3のグリップはノーマルの状態だと、人差し指そのものは大丈夫なのですが手のひらの人差し指に繋がる腱が通っている部分がグリップに当たる場所が盛り上がっているので、強く押し付けられる形になってしまっています。このデザインだと、銃をターゲットに向けて、さあトリガーを引こうと力をいれたとたんにグリップに力が加わり、銃が動いてしまうということになりやすいのです。

それを防ぐために、グリップを少しだけ削りましょう。グリップ後部から、人差し指が通る部分までなめらかにカーブが繋がるようにして、握ったときに手のひらの「人差し指関連のパーツ」がいっさいグリップに触れないように加工すればOKです。

この加工をすると、ただ握って構えただけの状態では、手のひらへの密着感が薄まり不安定さが増したような感じがするかもしれませんが、そこから的を狙ってトリガーを引いてみると、加工前の「力を入れるとサイトが揺れる」という感覚がなくなり、人差し指だけが他の指から独立してトリガー単体に力を入れられるようになったことが実感できるはずです。

●お知らせ

hitasura-b-mms-poster葛ラとは関係なく、私個人でやっていることですが、このAPS-3を始めとした「玩具銃としてはけっこう真面目に競技ができるエアガン」を使っての大会、その名も「ひたすらブルズアイ」という射撃大会を毎月第一日曜日(都合により変動することがあります)に開催しています。参加資格などはとくにありませんし、事前にエントリーする必要もありません。開催日・開催時間に会場に来ていただければOKです。

場所は新宿MMS。ビルの地下1F・2Fを使ったインドアフィールドですが、5mのシューティングレンジがありまして、そこをお借りして開催する形になります。参加費は2,400円(MMSシューティングレンジ利用料含む)です。

開催日程については、私の個人ブログである「あきゅらぼ」にて随時発表します。「ひたすらブルズアイ」の詳しいルールや参加費、エントリー形式についてはこちらを参照してください。


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